『事業会社と受託企業でのデータサイエンスの経験。
もう一度新卒に戻ったとしても、
事業会社からデータサイエンティストのキャリアを歩みたい。』
略歴
大学にて数学・統計学を専攻後、オーストラリアへ留学。 帰国後、事業会社へ入社し、データサイエンティストとして移動情報データや購買データを用いた分析や産学共同研究・自然言語処理に従事。その後外資系コンサルティングファームに移り、大手保険会社等でデータ戦略立案・分析環境構築を支援。退職後独立し、個人事業主としてデータ解析・最適化・機械学習を始めとする技術を提供している。
『事業会社から、コンサルティングファームのデータサイエンティストへ。』
事業会社でのデータサイエンティストから、コンサルティングファームへ
— 事業会社におけるデータサイエンティストとして、どういった領域に従事されたのですか?
主に、購買データや位置情報のデータを用いてマーケティングの効果検証を行う仕事をしていました。どういう人にリーチすると、どういうCV*があるか。それをもとにしたセグメンテーション*と、分析・開発によるプッシュ型広告*のサイクルを作る。
位置情報を利用した新規ビジネスの立案をしたり、特許系データを用いた自然言語処理、自動機械学習ツールの導入や、それらの社内研修などにも携わりました。
— 事業会社のデータサイエンティストとして、様々なご経験を積まれたのですね。
そうですね。
ただ、違った性質のデータサイエンスの仕事にも従事したいと思ったため、その後経営コンサルティングファームに転職しました。詳細な内容はお伝えできませんが、大手保険企業の Chief Data Officer (CDO) とお仕事。データビジネスの戦略を練ったり、社内データ分析環境構築支援・ルール作りなどを行いました。
*CV (Conversion): サイト等の訪問者が何かしらの行動(アクション)を起こすこと。
*セグメンテーション: 市場や顧客を同じニーズや性質を持ったグループに分割すること。
*プッシュ型広告: 不特定多数のユーザーに情報を届けることを目的とした広告。
『受託と自社開発企業でのデータサイエンスの選択。新卒に戻ったとしても、事業会社でのデータサイエンティストの道を選ぶ。』
受託企業と事業会社でのデータサイエンス
— エンジニアリングと同様で、データサイエンスも大きく自社と受託のものに分けられると思います。事業会社とコンサルティングファームでのデータサイエンティストの経験は、それぞれ比較していかがでしたか?
事業会社でのデータサイエンスの経験は、自社ツールに載せるためのプロダクト開発に近かった。コンサルティングファームではクライアントに対しサービスを提供する。
コンサルはビジネスを動かし、事業会社はプロダクトを動かすんです。
— 今新卒で入るとしたら、事業会社とコンサルティングファームのどちらを選びますか?
事業会社を選びます。事業会社の方がより手を動かすエンジニアリングの仕事が多く、それを若い内に体験できて良かったと思う。
『今データサイエンスを始めるにあたり、経験は必要ない。ただ、キャリアアップに関してはメンターがいる必要がある。』
これからデータサイエンスのキャリアをはじめることについて
— データサイエンスの領域で、大谷様が特に関心のあるものはありますか?
データサイエンスの教育にご関心があります。元々数学の先生になることに興味があったんです。
「データサイエンティストではない人」が、データサイエンティストとして活躍すること。「データサイエンティストの人」が、幅を広げる組織づくりに興味があります。
— これからデータサイエンスのキャリアを始めることについて、どう思われますか?
始めるにあたり、経験は必要ないと思います。勉強するツールは揃っている。本やデータサイエンティスト協会が無料で出している教材など、インターネットに情報がたくさん散らばっています。
ただ、キャリアアップに関しては別途メンターが設計する必要がある。
どういう順で勉強していくか。どういう種類の案件に携わるか。モデル開発からではなく、BI開発やSQLから始める、など。メンターと相談し、その人の経歴や目標に合わせて設定する必要があると思います。
『データサイエンスは新しい技術だから、世の中の流れとリンクしている。<br>自動運転や、無人レジ。5G。動画。<br>こういった新しい領域に関われることが多く、面白い。』
データサイエンティストを目指す学生へ / Big Data Net
— データサイエンティストを目指す学生へのアドバイスはありますか?
データサイエンスに限らず、自分の興味あるもの・好きなものに熱中すること。色々なもの知ることでデータサイエンスに活かせるものがある。
ドメイン知識に勝るデータ分析はありません。
競馬のデータサイエンティストに競馬の分析をさせたら、予想だにしない特徴量がある。データというよりも、その対象がどれだけ好きか。
そして、データサイエンスには色々なキャリアの可能性があることを強調したいです。技術を深めたい人もいれば、マネージャーとしてやっていきたい人、更には独立したい人もいる。
— Big Data Net に関わっていただこうと思っていただけた理由はなんですか?
データサイエンスの諸領域の、より専門的なプロフェッショナルと交流をしていくためです。今までは自分自身だけでできることをやっていました。
これからはより大規模なプロジェクトをこなしていき、精鋭のデータサイエンティストの方と仕事をしていくことで、より社会的に大きな影響をもたらす仕事に従事していきたいと思ったからです。
— 本日は大変お忙しい中、インタビューを受けいただき、ありがとうございました。